そんな、二年の間に厚く育った彼女の心の殻を、地道に溶かしていくのが私の仕事。
今はまだ一番外側の殻を相手にしているところだけれど、殻は私の力に反応して少しずつ柔らかくなってきている。
あと10日もすれば溶かしきって、その下の殻に移れると思う。
先は長いけれど―――
でも、出だしが順調なのはうれしいことだった。
私にとっても、マジュの目覚めを待つ人たちにとっても。
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なかば無理やりマジュの部屋を追い出され、私はため息をついて廊下を歩きだした。
べつに、少しくらい長い時間治癒を続けていたって平気なのに。
私は『園』で訓練を積んだ〈グリーン〉だ。
自分の能力を伸ばす努力もなくのうのうと育ってきた上層生まれの〈グリーン〉たちとは違うのに。
それに、多少ムリをしたって、マジュには一日も早く目覚めてもらったほうが都合がいいのだ。
彼女が速く目覚めてくれた分だけ、私の評価も高くなるはずなのだから。


