ね、と笑いかけられて、私は自分の身体を見下ろした。
店で最後に試着した服を、着たまま買って出てきたのだ。
私の今の服装は、白の丸襟セーラーのワンピース。
濃紺のリボンと、同色のベルトがアクセントになっている。
その上にレースのカーディガン。
ミントグリーンの透かしレースで、軽い着心地の夏物だ。
ちょっと少女趣味だけど……確かに、すぐ屋敷に帰って脱いでしまうのはもったいない。
自分で言うのも何だけど、かわいいお嬢さんといった感じでよく似合っている。
私が満更でもない気分になったのを
察したらしく、ハルヒコ様がこちらの顔をのぞき込んで尋ねてきた。
「さあレディ、これからどこか行きたい場所はある?」
「い、いえ、とくには」
「じゃあ、私が行き先を決めてもいいかな?」
―――というわけで、やってきたのがここ、ストーンパーク・ミュージアムなのだった。


