シトラス・セブンデイ




「……で、今朝いきなり呼び出された相手があの黒瀬王子で、あろうことか告白されて、思わず逃げ出したってこと?」

「……ハイ、その通りデス」


昼放課、窓際。

私の席に椅子をふたつ置いてタマキとお弁当を広げるのが毎日のお決まり。今日もそうして優雅なランチタイムを過ごす予定が、案の定タマキに尋問されることになってしまった。


黒瀬くんがグランドから私に手を振って笑ったあと、わたしはタマキに『告白された』ことだけ伝えて、その後すぐに次の授業を知らせるチャイムが鳴ってしまったのだった。



───今朝。


朝には強い私は人よりも随分と早く学校に着く。朝、人気のない道を一人で歩くのはなんだか気分がいいからだ。

今日も変わらず、人気のない下駄箱で。

自分の上履きの上に置かれていたメモに思わず息をのんだ。


──『図書室で、待ってます』


たったそれだけの簡素なメモ用紙。こう見えて少女漫画や恋愛小説が大好きな私の胸を躍らせるのには十分すぎる出来事だ。


そのまま浮足だって向かった先に、学校イチの王子様と呼ばれる黒瀬がいるとはつゆ知らず。



「ていうか、何それ、夢?! 黒瀬王子がアンタに告白とか世界線バグってない?!」

「それは私も朝から何度も考えていることでして……」

「んで、アンタはあの王子に告白されたにも関わらず、返事もしないで逃げてきたんでしょ?」



そう、実は。

人生で初めて告白されたのはいいものの、相手があの黒瀬くんだという事実にビビり散らかした私は、イエスもノーも告げずにあの場から走り去ってしまったのだった。