タマキの声に再びグランドに目を向ける。
きっと違うクラスの女の子たちだろう。数人で黒瀬くんに近づいたと思えば、その中からひとり背中を押されて前へ出る。声は聞こえないけれど、もしかして告白?
だとしたら、相当勇気がある子だなあ。あんなにみんなに見られてるっていうのに。
と、よく見ればひとつ下の学年で1番かわいいと噂されている女の子だ。ふわふわロングの髪とパッチリした瞳が印象的で、女のわたしから見ても心底かわいいと思う。
うわ、これはついに、誰とも付き合わないと有名な黒瀬王子でも彼女にしちゃうんじゃないの?!
と思ったや否や。
「あーら、アレは玉砕してますねー、完全に」
そう言ったタマキの言葉通り。一瞬で冷たくあしらわれたのか、すぐに女の子の輪の中に戻り、タオルを顔に当てて泣いている。これはまたこっ酷くフッたらしい。可哀想。
───そう、ルックス120満点の黒瀬 柚の欠点は、とにかく女の子に冷たいことだ。
「あんなにかわいい子でもダメなんて、黒瀬王子は本当に男なの?」
「さあ、わたしに聞かれても……」
「いくら顔がよくてもあの性格じゃー無理よね〜、まあ、告白されたら迷わず付き合うけど」
「ハハ……」
もしかして、というかやっぱり。
今朝、あの黒瀬くんに呼び出されて『告白』されたのはきっと何かの間違いだ。いや、間違いどころか私の都合のいい夢かもしれない。うん、きっとそうだ。
だって、あの黒瀬王子が私なんかを好きになるはずがない、というかそもそも存在を知られていることだって奇跡に近いのだから──
「え、ねえ、黒瀬コッチ見てない?」
「エッ?!!」



