「え、っと……」
「菊池先輩、明らかに脈なしだし、ナツ先輩が諦めてくれれば、って思ったから言ったけど、」
う、そうだよね。黒瀬くんからしたら、意味わからない状況だよね。
「言わなきゃよかったって思ってます、今、自分勝手ですけど」
「う……」
「ナツ先輩が菊池先輩のこと好きなのなんて、わかりきったことだったのに……」
あー、想像もしたくないです、と。近くの椅子にぽすりと座る。それから、「ナツ先輩が傷つくところも、もう見たくないのに」なんて言う。自分だって傷つくはずなのに、どうしてわたしの心配までしてくれるんだろう。
そして私は、本当に一番最低だ。
「あのさー、キミたちふたり、オレがいること忘れてなーい?」
ハッと声の方を見ると、カリンくんが不貞腐れた顔で頬杖をついていた。しまった、黒瀬くんが突然やってきたせいでカリンくんの存在を無視してしまった。
「ご、ごめんカリンくん……」
「てかさー柚、長年の片思い拗らせてるくせに告白促すとか意外とヨユーあんね」
「……」
「なんか勘違いしてそーだけど、菊池先輩、案外脈なしでもないんじゃない? ね、ナツぱいせん」
「エッ?! いやいや、流石にわたしも片思い歴長いからわかるよ、びっくりするくらい脈なしだって……」
「そ? じゃ、そのメッセは?」
「え?」
カリンくんの視線の先にはわたしのスマホがある。そこには1通のメッセージが届いていた。
黒瀬くんと話していたせいで気づかなかった。さっきカリンくんと連絡先を交換した時のまま、メッセージアプリを開きっぱなしのスマホを、机の上に出したままだったみたい。
届いているのは1分前。─────きくちゃんからだ。
「『今日放課後時間ある? 一緒に帰ろう』って来てるの、見えてマスよー」



