◇
オムライスを食べ終わった後、黒瀬くんは「ナツ先輩はもう一歩もそこから動かないでください、なんなら寝てて」と私をソファに座らせて洗い物を全てしてくれた。お湯を沸かして食後のココアまでいれてくれる始末。なんで優しいんだろう、出来た年下すぎる。
「ありがとね洗い物、やらせてごめんね……」
「当たり前です、お礼言われるようなこと何もしてませんよ」
「うっ、なんて出来た後輩なんだ……」
「後輩だからじゃなくて、ナツ先輩に好かれたいから、です。下心」
「わ、わかったから! 黒瀬くんはストレートすぎる!」
「先輩が俺のこと好きになってくれるなら、いくらでも言うのに」
「あーあーあーやめてやめてー!」
もう! すぐそういうこと言う! 私が耳を塞ぐふりをすると、ココアの入ったマグカップを二つ手にして黒瀬くんがこちらへ近づいてきた。
ソファ前のローテブルへそれをコトリとおく。それから、ソファ横の棚に置かれていた写真盾を指差した。
「これ、先輩の小さい頃ですか?」
「あ、うんそうだよ、確か小3かなー。夏祭りの時の写真でね」
「……かわいい尊いもしかして天使の生まれ変わりか何かですか?」
「うん相変わらず黒瀬くんの趣味はどうかしてるね?!」
「これアルバムですか見ていいですか」
「オーケーする前に開いてるじゃん!」
至って真剣な顔で写真縦横に並べられていたミニアルバムを手に取ると、躊躇いもなく私の横へ腰掛ける黒瀬くん。右側が少しだけ沈む。シトラスの香水の香り、今日はしない。同じシャンプーの匂いにどきりとしたりして。
相変わらず綺麗な横顔だ。この長いまつ毛、どうにかして私のものにならないかな。
「……これ、菊池先輩ですか?」
「えっ?」
しまった、思わず黒瀬王子の綺麗すぎる横顔に見惚れていた!
ハッとして黒瀬くんの手元を見ると、小さなアルバムに収まっている写真は、幼い頃のわたしときくちゃん。母親同士が仲よしで、わたしたちはずっと一緒に育ってきたんだ。
「……うん、そう、だね。きくちゃんだよ」
最初の記憶なんてこそないけれど、ひとつ年上というだけで、きくちゃんはずっと大人だった。無邪気で人懐っこい性格の割にしっかりしていてお兄ちゃん気質。抜けている私のことは、今日カリンくんに言っていたように、本当の妹のように可愛がってくれた。
1番近いようで、ずっと、1番遠かったな。
「……妬けます、こんなにずっと、ナツ先輩といるなんて、ずるい、です」
「……そんなこと言ってくれるの、黒瀬くんくらいだよ」
そういえば、泥のように眠ってしまって現実逃避していたけれど、きくちゃんには彼女ができたんだった。付き合ったんだって、目の前で聞いてしまった。昨日のキスを見てしまった時から覚悟はしていたけれど。
やっぱりくるものがある、きくちゃんに彼女ができる時は毎回こうだ。
オムライスを食べ終わった後、黒瀬くんは「ナツ先輩はもう一歩もそこから動かないでください、なんなら寝てて」と私をソファに座らせて洗い物を全てしてくれた。お湯を沸かして食後のココアまでいれてくれる始末。なんで優しいんだろう、出来た年下すぎる。
「ありがとね洗い物、やらせてごめんね……」
「当たり前です、お礼言われるようなこと何もしてませんよ」
「うっ、なんて出来た後輩なんだ……」
「後輩だからじゃなくて、ナツ先輩に好かれたいから、です。下心」
「わ、わかったから! 黒瀬くんはストレートすぎる!」
「先輩が俺のこと好きになってくれるなら、いくらでも言うのに」
「あーあーあーやめてやめてー!」
もう! すぐそういうこと言う! 私が耳を塞ぐふりをすると、ココアの入ったマグカップを二つ手にして黒瀬くんがこちらへ近づいてきた。
ソファ前のローテブルへそれをコトリとおく。それから、ソファ横の棚に置かれていた写真盾を指差した。
「これ、先輩の小さい頃ですか?」
「あ、うんそうだよ、確か小3かなー。夏祭りの時の写真でね」
「……かわいい尊いもしかして天使の生まれ変わりか何かですか?」
「うん相変わらず黒瀬くんの趣味はどうかしてるね?!」
「これアルバムですか見ていいですか」
「オーケーする前に開いてるじゃん!」
至って真剣な顔で写真縦横に並べられていたミニアルバムを手に取ると、躊躇いもなく私の横へ腰掛ける黒瀬くん。右側が少しだけ沈む。シトラスの香水の香り、今日はしない。同じシャンプーの匂いにどきりとしたりして。
相変わらず綺麗な横顔だ。この長いまつ毛、どうにかして私のものにならないかな。
「……これ、菊池先輩ですか?」
「えっ?」
しまった、思わず黒瀬王子の綺麗すぎる横顔に見惚れていた!
ハッとして黒瀬くんの手元を見ると、小さなアルバムに収まっている写真は、幼い頃のわたしときくちゃん。母親同士が仲よしで、わたしたちはずっと一緒に育ってきたんだ。
「……うん、そう、だね。きくちゃんだよ」
最初の記憶なんてこそないけれど、ひとつ年上というだけで、きくちゃんはずっと大人だった。無邪気で人懐っこい性格の割にしっかりしていてお兄ちゃん気質。抜けている私のことは、今日カリンくんに言っていたように、本当の妹のように可愛がってくれた。
1番近いようで、ずっと、1番遠かったな。
「……妬けます、こんなにずっと、ナツ先輩といるなんて、ずるい、です」
「……そんなこと言ってくれるの、黒瀬くんくらいだよ」
そういえば、泥のように眠ってしまって現実逃避していたけれど、きくちゃんには彼女ができたんだった。付き合ったんだって、目の前で聞いてしまった。昨日のキスを見てしまった時から覚悟はしていたけれど。
やっぱりくるものがある、きくちゃんに彼女ができる時は毎回こうだ。



