◇
とんだ災難に遭ってしまった。
昨日、黒瀬くんに突然告白されただけでも人生のハイライト級大事件だというのに、今度は黒瀬くんの親友・果梨くんまで現れるし。正直私みたいな、少女漫画の中でいうモブキャラには、あんなキラキラした人種似合わないと思う。
「憂鬱憂鬱憂鬱……」
黒瀬くんたちを振り切って走った帰り道。あと少しで家というところをトボトボ歩いていると、家付近の公園内に見覚えのある人影が見えて、私は思わず街角にそっと身を隠した。
そう、本当に思わず、なんだけれど。
夕方、オレンジ色に染まった帰り道、その見覚えのあるシルエットをもう一度確認したくて、そっと角から覗き込むと。
あ、やっぱり、見間違いじゃない。
「きくちゃん……」
「菊池先輩ですね」
「えっ?!」
突然後ろから声がして驚いて振り向くと、急いで追いかけてきたのか、背の高い黒瀬くんが私よりも身を乗り出してきくちゃんの方を見ていた。
「ちょ、黒瀬くん、なんで着いてくるの!」
「なんでって……一緒に帰る約束、したじゃないですか」
「果梨くんは?!」
「帰らせました」
ちょっとそれも可哀想な気もするけど……。
というか、せっかく走って逃げてきたのに。黒瀬くんは朝ひとつかかずわたしを追いかけてきたのかと思うと少々悔しい。
「あ、」
「え、」
私が黒瀬くんの方を向いていたからか。角から身を乗り出していた黒瀬くんが突然、私の視界を奪った。突然のことで驚く。黒瀬くんの大きくて細い指が目元を覆ったのだ。
「ちょ、黒瀬くん?!」
「ごめんなさい、でも、見て欲しくない」
「え、何、!」
「いいから、すみません、あと少しだけ」
「黒瀬くん!……柚くん!」
「えっ」
私が名前を呼んだのと同時に、驚いた黒瀬くんが力を抜いた。瞬時に私は黒瀬くんの手をどかしてきくちゃんのほうを見る。黒瀬くんの名前をわざと呼んだこと、ごめんね、と思いながら。
でも、やっぱり、見なきゃよかった、かもしれない。
黒瀬くんが私の視界を奪った理由がわかった。
─────きくちゃんと、マネージャーだ。
さっきまで、きくちゃんがサッカーをしているところを教室から見ていたのに。家が近いのに、最近偶然会うことも殆どなかったのに。
今日は、黒瀬くんを待っていて、果梨くんと話していていつもより随分と帰りが遅くなってしまったから、たまたま帰りの時間が被ったんだろう。
距離があるから、会話が聞こえるわけではないけれど。
いつの間にか公園のベンチに座って、見覚えのあるマネージャーの先輩が、横に座っている。そんなきくちゃんの顔は随分と嬉しそうだ。
見ればわかる。きくちゃん、恋を、してるね。
「……ナツ先輩、」
とんだ災難に遭ってしまった。
昨日、黒瀬くんに突然告白されただけでも人生のハイライト級大事件だというのに、今度は黒瀬くんの親友・果梨くんまで現れるし。正直私みたいな、少女漫画の中でいうモブキャラには、あんなキラキラした人種似合わないと思う。
「憂鬱憂鬱憂鬱……」
黒瀬くんたちを振り切って走った帰り道。あと少しで家というところをトボトボ歩いていると、家付近の公園内に見覚えのある人影が見えて、私は思わず街角にそっと身を隠した。
そう、本当に思わず、なんだけれど。
夕方、オレンジ色に染まった帰り道、その見覚えのあるシルエットをもう一度確認したくて、そっと角から覗き込むと。
あ、やっぱり、見間違いじゃない。
「きくちゃん……」
「菊池先輩ですね」
「えっ?!」
突然後ろから声がして驚いて振り向くと、急いで追いかけてきたのか、背の高い黒瀬くんが私よりも身を乗り出してきくちゃんの方を見ていた。
「ちょ、黒瀬くん、なんで着いてくるの!」
「なんでって……一緒に帰る約束、したじゃないですか」
「果梨くんは?!」
「帰らせました」
ちょっとそれも可哀想な気もするけど……。
というか、せっかく走って逃げてきたのに。黒瀬くんは朝ひとつかかずわたしを追いかけてきたのかと思うと少々悔しい。
「あ、」
「え、」
私が黒瀬くんの方を向いていたからか。角から身を乗り出していた黒瀬くんが突然、私の視界を奪った。突然のことで驚く。黒瀬くんの大きくて細い指が目元を覆ったのだ。
「ちょ、黒瀬くん?!」
「ごめんなさい、でも、見て欲しくない」
「え、何、!」
「いいから、すみません、あと少しだけ」
「黒瀬くん!……柚くん!」
「えっ」
私が名前を呼んだのと同時に、驚いた黒瀬くんが力を抜いた。瞬時に私は黒瀬くんの手をどかしてきくちゃんのほうを見る。黒瀬くんの名前をわざと呼んだこと、ごめんね、と思いながら。
でも、やっぱり、見なきゃよかった、かもしれない。
黒瀬くんが私の視界を奪った理由がわかった。
─────きくちゃんと、マネージャーだ。
さっきまで、きくちゃんがサッカーをしているところを教室から見ていたのに。家が近いのに、最近偶然会うことも殆どなかったのに。
今日は、黒瀬くんを待っていて、果梨くんと話していていつもより随分と帰りが遅くなってしまったから、たまたま帰りの時間が被ったんだろう。
距離があるから、会話が聞こえるわけではないけれど。
いつの間にか公園のベンチに座って、見覚えのあるマネージャーの先輩が、横に座っている。そんなきくちゃんの顔は随分と嬉しそうだ。
見ればわかる。きくちゃん、恋を、してるね。
「……ナツ先輩、」



