シトラス・セブンデイ




昨日黒瀬くんに指定された場所、東校舎一番奥の空き教室。

東校舎は元々図書室や音楽室のような特別教室のみの校舎で、普通教室がない分人通りもかなり少ない。……黒瀬くんみたいないつも周りに人がいる人間が、こんなところにいるなんてなんだか不思議な感じだな。



案の定人気のない廊下を通って、一番奥の空き教室までやってきた。ひとつ深呼吸をしてひょっこり教室の後ろから顔を覗かせると、黒瀬くんがぼうっとひとりで席に座っている。

……ちゃんといた。

やっぱり、昨日のは夢じゃなかったんだな、と当たり前のことを思いつつ。



「黒瀬くん」

「わっ、先輩、いたんですか」

「ごめん、驚かすつもりはなかったんだけど」

「いや、結構時間過ぎてたんで、もう来てくれないかと思ってました、よかった、」



う、それは私がタマキの前で心の準備をしていたせいなんだよね。ごめんね黒瀬くん。



「……来てくれて、ありがとうございます」

「いやいや、さすがに約束は破らないよ」

「ここ、座って下さい」