「じゃあ、行きますか?」
「……でも見て、黒瀬くん」
「え、何をですか?」
「校門だよ。ほら」
さっきまでタマキと見ていた窓の先を指さすと、黒瀬くんもそちらに視線を送る。少し目をはなした隙に、さっきよりも校門前の人だかりは増えている。
「うわ、すごい人……」
「あれ、黒瀬くんが今日お昼に皆の前で変な宣言するからダヨ……」
「え、俺のせいですか?」
「自分がいかに目立つかご存じ??」
本当に驚いた様子で窓の外を見つめる黒瀬くんは、「参ったな、」と本当に困った顔をしていた。横顔も綺麗だなあ。高い鼻にシュッとした顎ライン。睫は女の子より長いかもしれない。
「あんな中で、俺と一緒に帰りたくなんて……ないですよね、」
「そういうわけではないけど、気が引けるのは確かデスネ……」
「ごめんなさい、ナツ先輩にも迷惑かけてますよね、」
「うーん、それはノーとは言いにくい事態なんですが……」
「ごめんなさい、俺、今日先輩に告白するって決めてて、他のこと何も考えられなくなってて……冷静になったら、確かに非常識でしたよね」
「わわ、そんなに落ち込まないで、私もごめん攻めてはないの!」
「っ、」
絵に描いたように落ち込んでいる黒瀬くんが不憫で、思わずそっと隣の彼の肩に触れてしまった。するとその一瞬で、思いっきり飛び上がった黒瀬くんは本当に驚いた顔をして、それからみるみる顔が赤く染まっていく。
「わ、ごめんイキナリ……」
「いや、ごめんなさい、」
再び右手で口元を隠した黒瀬くんは、私の方を見ずにパタパタと反対の手で仰いでいる。
「ほんと、かっこ悪い、すみません、どうかしてます、」
「いやいや、私は大丈夫なんだけど……」
すると今度は私が触れた肩を左手で押さえる。なんだろう、黒瀬くんって、クールだとか氷のように冷たいだとか言われているけれど、全然そんなことない。
むしろとても素直で、赤面症だ。



