え、と声を発する方向に振り返って手が止まる。
いや、だから、いつも突然現れすぎなんだって。
固まる私とタマキの視線の先に、無表情の黒瀬くんが立っていた。その姿はさながら芸能人顔負けで、いっそのことモデルにでも応募したらどうかと思う。
「く、黒瀬くん、何故ここに……」
「先輩のクラス覗いたけど、いなかったので、学校中を歩き回ってました」
「校門で待ち合わせじゃなかった?!?!」
「来てくれないかと思って」
「ウ、それは……」
「案の定こんなところにいるし、」
「ご、ゴメンね……」
「灯台下暗しですね、隣のクラスにいるんですもん、……でも、会えたからよかった」
どうして彼はこんなにストレートにモノを言うんだろう?
ホッとしたようにひとつ息を吐いた黒瀬くんは、私を一度見たあと、タマキの方へ向き直る。
「すみません、ナツ先輩のこと、借りてもいいですか?」
「わ、話しかけられた、顔面ツヨ……」
「タマキ、今それどころじゃない」
「ダメですか……?」
私とタマキのやりとりに突っ込むこともなく、澄んだ瞳をまっすぐにこちらに向けて恐る恐るそう呟く黒瀬くん。案の定、タマキは一瞬でノックアウト。
「いやダメなわけないでしょーよ。むしろ毎日でも持って帰って」
「ちょっとタマキ、それは言い過ぎなのでは?!?!」
「黒瀬王子に隣歩いてもらえるだけで感謝しな?」
「そ、それは御もっともなのですが……」
「あーでも黒瀬王子、1つだけ言っておくけど、この子のこと傷つけたり騙したり、そういうことは絶対しないでよ?」
「もちろんです」
私がタマキの言葉に感動している間に、黒瀬くんは「ありがとうございます、ちゃんと送り届けます」とタマキに向かって一礼する。いやいや、礼儀正しいにも程がある。というか、タマキは私の親か何かか??



