◇
「見てよ、アレ」
「ウウ……」
どうしよう、本気で頭もお腹も痛くなってきた。
放課後、教室。
タマキの目線の先は窓の外。1限のあとに見ていたグランドの先の先、今日私が黒瀬くんと待ち合わせを約束した校門だ。
案の定、思った通り。帰宅ピーク時間とはいえ、明らかに普段より人で溢れかえった校門を見て、さらに頭が痛くなってくる。
「絶対面白半分で見にきてる奴らいるだろうねー」
「むしろそれしかいないと思うケド……」
「ここからじゃ顔見えないけど、黒瀬王子はもうあそこにいるのかね?」
「わかんないけど、まだいないんじゃないかなあ、」
必死に目を細めるけれど、ここからじゃ誰とまでは判別しにくい。黒瀬くんは背が高いからわかりやすいと思うんだけど、それらしき人物はまだいないように見える。
ちなみに、私とタマキは自分たちのクラスではなく、早めにホームルームが終わって人気のなかった隣のクラスへと逃げ込んで、こうして窓の外を観察している。自分のクラスにいたら、それこそ外野にすぐに目をつけられてしまうから。
「なんか本当に、まだ信じられないな、こんな風にコソコソ逃げ回る学校生活がやってくるなんて……付き合わせてゴメンね、タマキ」
「暇つぶしにちょうどいいわよ」
「持つべきものは友デスネ……」
「というか、私はどちらかと言うと黒瀬王子側だからね。ささっとオーケーすればいいのよ。そんで、ついでにあの黒瀬王子にかわいい年下の彼氏候補でも見つけてもらおうかな」
「そんなおこぼれ貰うみたいな言い方……」
「類は友を呼ぶんだから、ハイスペの友達はハイスペが多いのよ!」
なんて抜かりのない。というか、タマキこそ美人なんだから彼氏なんてすぐにできるだろうに、理想が高すぎるんだよなあ。



