「とりあえず、放課後どうすんの」
「ウッ、お腹痛くなってきた……」
「今の会話いろんな人に聞かれてたからねー、校門と言えど、外野に囲まれるんじゃない?」
「どうしよう、ドタキャンするしかないのかな、」
「てゆーかなんでアンタはあんなイイ男にアタックされてもなびかないのよ?」
「う、ウーン、」
「……やっぱり、きくちゃんのことが好きなわけ?」
「わ、ちょっと、やめてよー!」
恥ずかしくってパタパタと手を仰ぐ。にやりとわらったタマキは、「ふーん、一途ねえ」と頬杖をついていた。
生まれてこの方彼氏がいたこともなければ告白されたこともない。むしろ、誰かに好意を寄せられたのなんて今回が初めてだ。
けれど、そんな私だって誰かのことを好きになったりすることは例外なくあるわけで。
───きくちゃん。菊池 康介(キクチ コウスケ)。
彼の名前を聞くだけで、胸が高鳴るのはきっと、そういうことなんだと思い知る。学校イチの王子様に告白されたところで、私の恋心に変化はないらしい。恋愛というものはとても厄介だ。



