夏の残り香

恋愛(ピュア)

4月の菜の花/著
夏の残り香
作品番号
1368484
最終更新
2016/09/18
総文字数
0
ページ数
0ページ
ステータス
未完結
PV数
0
いいね数
0
止めどなく降る蝉の声。
容赦なく照り付ける太陽。
熱気を放つアスファルト。
全てが気力と体力を奪うような、暑い夏の日。

私は、奇妙な出会いをした。


「ねーねー、そこの君!」

「.....はい?」


明らかに胡散臭いその声に振り向いてしまったのは、暑さにやられていたせいだと思う。
視界に映ったのは、大学生くらいに見える一人の青年。


「そ、君!ちょっとお願いがあるんだけどさ、」


人懐い笑みを浮かべながら、飄々とした口調で言葉を紡ぐ彼。
初対面で他人に頼み事なんて、十中八九碌なことじゃない。
分かってはいたんだ。
それでも、口を開いてしまったのは、


「.....何でしょう。」

「俺の成仏の手伝い、してくんない?」



彼が、この世の人ではなかったから。




『君のひと夏、俺に頂戴。』

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