夢じゃなくて





お互いお礼を言いあっていたら
美味しそうな料理が運ばれてきて


料理を食べながら、藤堂さんは
色々話をして、気まずくならないように
してくれていた。



藤堂さんに“笑美ちゃん”って呼ばれるたび
なんかすっごく嬉しい。

そして、敬語だった藤堂さんが
いつの間にか、普通に話しているのも
とっても嬉しかった。


いま、すごい幸せだな、わたし…
なんだか夢みてるみたい…


それに料理も美味しくて、
いつもよりたくさん食べてる気がする。



「笑美ちゃん」


「はい?」


ふと、名前を呼ばれて前を向くと
藤堂さんの長い指がわたしの口元に
触れた。


一瞬何が起こったか分からずに
固まっていると


「ソース…ついてたよ」


笑美ちゃん意外と天然なんだね、
なんて笑いながらソースのついた指を
舐める藤堂さんから、目が離せなくなる。



「…ん?」



「あ…いえ、ありがとうございます…」