夢じゃなくて








結局、あの後も何度かミスをしたけど
なんとかバイトは終了。



帰り道、イケメンと
ぶつかった所に差し掛かる。


どうしよ…ボールペン、返さなきゃだよね…


“笑美ちゃん、恋は先手必勝だからね!”


うぅ…彩乃さん…


彩乃さんの言葉を思い出して
道路の端でイケメンを探して見る。




でも、しばらくたっても
見つからない。



まぁ、そりゃそうか…
たまたま通っただけかもしれないしね
もう、警察に届けるか…


そう思って、諦めようとした時、


「あ…」


向こうからあの時のイケメンが
歩いてくるのが見えた。



あ、うそ、あの人...絶対、あの人だ!



きっと向こうはわたしのこと
覚えていなくて、何事もなくわたしの横を
通り過ぎていく。


うわ、なんかいい匂いする…


…じゃなくて!ボールペン渡さなくちゃ!