6話 面会


「ママ!ただいまー」

「あらゆいおかえり!」

直接聞くしかない。


「マーマー、昨日誰と電話したのー?」

「昔の親友よ」


昔の親友…??
だれか全然わかんない。


「今日そのうちの1人と夕食を食べに行く

 けどくる?お子さんもくるんですって」


もしかしたら、エレナちゃん達かな…
なつめくんかも。


「お子さんて、男の子?女の子?」


「男の子よ。あなたと同じ年。」


なつめくん…だったら、話がうまくいく。



「オシャレしてね~」


「はいはい」


〜~そして、夕食の時〜~


「あらまぁ!ゆいちゃん、こんなに

 大きくなって!」


ママの昔の親友は、目に涙を貯めていた。


「はぁ」 でも私、わかんない。だれ。


「覚えてる?花音よ。」

ママ…残念だけど、全く覚えてないよ。


「んーん」と首を振る。


「そう、よね。」

花音さんは、悲しそうに言った。
そして、


「あっ、息子の『ひかる』よ!

 仲良くしてね!!」



…ひ…か…る……………ズキっ!?
ふらふらするのを必死でこらえる。


「ゆい!ゆい!大丈夫?」


「………。」


「……ひかる…?」

記憶の一部が急によみがえってきた。
でも、『ひかる』に関することだけ。


「うん、そーだよ、ゆい。」


「ひかる!!」

懐かしさと寂しさが溢れだし涙目になる。


ひーくんは、昨日の電話で、花音さんが
『ゆい』と言ったので思い出したらしい。



「まぁ、感動の再開わ、後でにして、

 席につきましょう!」


『うん!!』


「ひかる君はどこの高校??」

知りたーい!!


「佐原体育高校です。」


「えー、ひかる佐体!?

 私もだよ!!!!!」


「何部?」

「陸上!!ひかるは??」


「俺、弓道。」


弓道!あっ…



はっとママを見るとなんの話をしているかも
分からないようで、花音さんと話していた。







「ふぅ、ごちそうさま〜!」


「美味しかったわね〜」


「うん!!」


「じゃ、行きましょうか。」



ん?帰るんじゃなくて?
どこへ行くの!?


「ゆい。」
ぐいっと引っ張られた。
どうやら今夜の町は混んでいるようだ。


「危ねーだろ、」


「ありがとう!」


ひーくん、クールだけど優しさは
変わらない。


「危なっかしくなったな。」

クスクスと笑いながらいう。笑うとクシ
ャッとなるのも変わってないね。


「なんだとーー!」


「おっ、やる気か。」


はしゃげる懐かしさ。
大切な記憶が戻ってきた。
でも、ひーくんまで記憶なかったんだ。


「明日から一緒に学校いけるな!」


うん??


「ゆいちゃん!ついたわよ。」


えっ!

「ママ…!?」

ママが泣いている。

「ごめんね、ゆい。ママ借金作っちゃった。

 いっ時花音にお世話になって。ごめん。

 ごめんね、ゆい。うっ…ひっ…」


ママ泣かないで。
ポロポロと出てくる涙を無視して笑って


【ママ、泣かないで。待ってるから。

 だから、早く迎えに来てね。】

と言った。


ママは、泣きながら、私にハグした。

「ママ。」





「ゆい、体には気おつけて。ご飯食

 べるのよ。手紙かくね。」



「うん。ママも気おつけて!」



この時間ひーくんは玄関で待っていて
くれた。





「うっ…ひっ…ひーくん。」

ひーくんは、優しく抱きしめてくれた。
泣き終わるまでずっと。


「明日……がっこ……いや何でもねー」


がっこ??あっ、学校か、いく。


「行くよ。一緒に行くんでしょ?」


「おう。無理するんなよ。」


「…うん。」