【完結】プラスマイナスゼロ

「あなたのせいで…お母さんのせいで…死んだ人が何人もいるのに…なんであなたは、そんなに平然としてられるの！？幸い、5人は助けられた。でも、その人達を助けるために死んでしまった人が一人いるのに… なんで！？」

そう言ってもこの人の心には、なにも響かないらしい。私ももう諦めた。 18年間、母親に行動を制限され監視され続けた人生。もう嫌だ。

「さよなら、高橋綾子さん。」

そう言い捨てて、私はその場を去った。

『ごめんね…ごめんね…あかり…』

そんな言葉も聞かぬふりをして。