健一さんは、急に差し出された私のクッキーを見て、目をパチパチさせて、少しの間固まっていた。
「・・・。…陽菜ちゃん、これ・・・」
「あ、昨日作ったんです。お口に合わないかもしれないですけど…」
私がそう言うと、健一さんの耳が、徐々に赤くなっていった。
「おれの…ために?」
「あ、はい…。素敵なプレゼントも頂いて、何度もご馳走してもらっちゃってるので。
でも、本当に大したものではないので、気持ちということで・・・」
本当は、今日のランチを私がご馳走した上でクッキーを渡す計画だったから
なんだかお礼がクッキーだけになっちゃって、お礼になっていない気がする。
「いや、すごく…嬉しいよ。ありがとう…陽菜ちゃん。」
健一さんの顔が和らぎ、さっきまで纏っていた悲しげなオーラは消え去っていた。
あ…健一さん喜んでくれているのかな。
優しい表情になった健一さんを見て、私もなんだか嬉しくなる。
「いえ、こちらこそ、いつもありがとうございます。」
私も、健一さんにしてもらった今までのことを思い出しながら、感謝の気持ちを健一さんに伝えた。

