〝ご結婚おめでとうございます〟と祝いの言葉の飛び交う中、林檎の姿を探す。
赤いドレスが通り過ぎると、林檎かと思って声をかけそうになる。




違う、林檎はあんなに子供じゃない。
違う、林檎は可愛い系より綺麗系だ。




林檎では無いことは解るのに、俺が来るなら出ると言ったのに、会場に林檎の姿はない。
本当に引き篭もってるのか。




「あら、貴方確かあの時の……」
「林檎様をお妃様と仲直りさせてくれた、月夜見六花(つくよみりっか)くんです」
「六花です。林檎は……?」



引き篭もって出てこないのです、と警備隊長。
林檎の部屋の方向に視線を向けて告げるお妃様。




何故か林檎が消えてしまうような感覚に陥って、軽くパニックを起こす。
俺の林檎に、林檎に何をしたんだ!





「曲が、変わった……?」
「これはリストに入れてない曲ですね」





この曲は聞き覚えがある。
あの時の林檎の誕生日のダンスパーティーで、会場の真ん中、林檎が独舞を披露したあの曲だ。
ということは、会場のどこかに林檎がいる筈だ。
どこだ、どこにいる?