「どうしたの?木村さん」
この人は木村さんというらしい。
同じクラスなのに苗字すら知らなかったよ。
「き、今日誕生日だよね!クッキー焼いたの!食べてほしいな」
照れながらそう言う彼女は私の数倍女の子らしくて
可愛い。
そして素直だ。
「知ってくれてたんださんきゅー」
そう言って彼女に微笑む桜井くんを見ると思わず胸が痛む。
彼女はほっとしたようにニコっと笑うと友達の元へ帰っていった。
1番におめでとう言いたかった。
1番にプレゼントあげたかった。
私は手に持っていたラッピングされた袋をさっとカバンの中に閉まった。