リビングを飛び出して、荷物をまとめて家出をしたところまではよかった。

「どうしよう…」

人っ子1人いない小さな広場のベンチで、あたしは息を吐いた。

足元には着替えをつめたボストンバックが置いてあった。

空を見あげると、日はすっかりと暮れていた。

チカチカとそばにあった街灯に光が灯った。

両親に政略結婚を告げられたその日に荷物をまとめて家出をして、1人暮らしをしている友達の家へと転がり込んだ。

彼女の家で3日間寝泊りをしていたけれど、4日目を迎えた今日の朝のこと。

「ほのか、もう家に帰りなさい。

家に帰って両親と話しあいをした方がいいよ」

そう言われて、家を追い出されたのだった。