「お礼、ですか?」

思わず聞き返したあたしに、
「君が料理できるとは思わなかったから1万円札を入れたんだけど、意外で驚いた。

今日はバイト料だと思って受け取ってよ」

修哉さんはあたしの手に封筒を持たせた。

「それで服とか何か好きなものを買っていいから。

一緒に住む以上、ほのかちゃんにも必要なものはあるだろう?」

「…まあ、ええ」

あたしは封筒を見つめた。

「でも、いいんですか?」

確認するように聞いたあたしに、
「俺がいいって言っているんだ」

修哉さんが答えた。

「じゃあ、ありがたく受け取ります」

そう言ったあたしに、
「こちらこそ、美味しいご飯をありがとう」

修哉さんは笑いながらお礼を言った。