Princess

今振り返ってみると、おかしななれそめだなとあたしは思った。

会社のため、それも見知らぬ人との結婚が嫌で、あたしは家を飛び出した。

お金もロクに持ってきていなかったせいで危うく路頭に迷いかけたあたしに手を差し出してくれたのは、修哉さんだった。

――じゃあ、俺と結婚しない？

最初は訳がわからなくて戸惑ったあたしに、修哉さんは“３ヶ月”と言う限られた時間で考えて結論を出して欲しいと言った。

３ヶ月の間だけ自分と一緒に暮らして自分と結婚するか実家に帰って結婚を受け入れるか、と。

その３ヶ月の間であたしは修哉さんのことが好きになって、修哉さんもあたしのことを好きになってくれた。

一時は離ればなれになってどうなることかと思ったけど、彼は結婚相手としてあたしの目の前に現れて戻ってきてくれた。