『アクア製薬株式会社』との顔あわせが当日を迎えた。

「何であたしが1人で行くんだろう?」

顔あわせ場所である『エンペラーホテル』の前で、あたしは呟いた。

てっきり両親も一緒に行くのかと思ったら、今朝になって急用が入ってしまったのだそうだ。

その急用が終わり次第、すぐに駆けつけると言うことなので、先にあたしが1人で向かうことになってしまった。

場所は確か、このホテルの52階にある『鶴の間』と言う部屋だ。

エレベーターで52階へ向かうと、『鶴の間』へと足を向かわせた。

「――えっ…?」

『鶴の間』の前に、誰かがいることに気づいた。

「――ウソ、でしょ…?」

そう呟いたあたしの顔をその人――修哉さんが視線を向けてきた。