何回目かの絶望を味わった後、机のうえにスマートフォンを置いた。

あの3ヶ月は、あたしが見た都合のいい幸せな夢だったのかも知れない。

「もう受け入れるしか方法はないよね…」

どの道、もう逃げられないところまで政略結婚の話は進んでしまっている。

窓を開けて空を見あげると、月が出ていた。

「――修哉さん…」

例えみんながあなたのことを知らなくても、あたしだけはあなたのことを覚えています。

あなたと一緒に過ごした楽しい日々は、本当にあったことなんだと信じています。

「会社のための愛のない結婚だけど…あたしは、幸せになります。

さようなら、修哉さん…」

修哉さんがこの月を見ているとは限らない。

それでも彼が見ていることを信じて、月が伝えてくれることを信じて、あたしは言った。