結局何にも手がかりをつかめないまま、家に帰ってきた。

「ただいまー…」

呟くように言ったあたしに、
「お帰りなさい、ちょうどよかった」

お母さんが嬉しそうにあたしを出迎えてくれた。

「えっ?」

ちょうどよかったって、何が?

そう思いながらお母さんと一緒にリビングに顔を出したら、
「お帰り、ほのか」

お父さんが帰宅していた。

「えっ、早いね」

そう声をかけたあたしに、
「ああ、今日はいい話を持ってきたんだ」
と、お父さんが嬉しそうに言った。

その様子から、政略結婚の話だとあたしは思った。