何で…何でみんな、修哉さんのことを知らないのだろう?

あたしだけが覚えていて、後は知らないだけである。

まるで彼らの記憶から、修哉さんだけが切り取られてしまったみたいだ。

「――どうして…?」

どうして誰も、修哉さんを覚えていないの?

何かの間違いだよ…。

あたしはちゃんと覚えているのに…。

だけど、確証もなければ証拠もない。

修哉さんの存在を証明するものは、何1つも残っていないのだ。

「こんなの変だよ…。

おかしいよ…」

そう呟いたあたしの声は、震えていた。