「ここ、2年も前から誰も住んでないんだけど」

そう言った中年男に、
「えっ…?」

あたしは驚いた。

2年前から、誰も住んでいない…?

そんなバカな…!?

「さ、最近住んでいたってことは…?」

「それもないね」

あたしの質問をさえぎるように、中年男が言った。

「もう用がないんだったら帰ったら?

こっちは夜勤明けで寝てねーんだよ」

中年男は大きなあくびをすると、ドアを閉めた。

バタンと閉まったドアに、あたしは立ちすくむことしかできなかった。