日曜日のことだった。

「あら、出かけるの?」

玄関で靴を履いていたら、お母さんに声をかけられた。

「うん、買い物に行こうかなって」

そう答えたあたしに、
「気をつけて行ってらっしゃい」

お母さんは見送ってくれた。

買い物なんてただの口実にしか過ぎない。

目的はただ1つ、修哉さんと暮らしたあの場所へ行くためだ。

「ここだ…」

記憶を頼りに、修哉さんと一緒に暮らしたマンションに到着した。

いきなり、それも連絡もなしに押しかけたからビックリするかな?

でも今は、そんなことを言っている場合ではない。

修哉さんの部屋の前に到着すると、チャイムを鳴らした。

彼は出てこなかった。