「ない…」

そこに登録しているはずの修哉さんの電話番号がなかった。

間違えて消した?

いや、そんな訳がない。

電話の履歴やメールの履歴を確認するものの、そこに修哉さんのものはなかった。

「そんな、何で…?」

政略結婚が嫌で実家を飛び出して、修哉さんに出会って、一緒に暮らして、両思いになって…一緒に逃げて、ホテルに泊まった。

なのにこれは、どう言うことなのだろうか?

跡形もなく消された修哉さんの存在と知らない間に戻っていた実家に、あたしはどうすればいいのかわからなかった。