バタンッ!扉を開け放った途端、屋上の隅にいた梶くんが此方を振り返って目を丸くした。


「梶くん、やっと見つけた」
「……な、なに」
「君に、用があったの」
「は?……ちょ、何だよ、この間の仕返し?」


 ゼーハーと肩で息をしながら近づく私に梶くんはビクビクと怯えている様子だった。


「実は梶くんに言いたいことがあって」
「……ひっ」


 目の前に立った私に梶くんはまるでお化けを目の前にしたか弱き少年のように小さく悲鳴を漏らした。
 あまりの怯えように多少むっとしたが、それを飲み込んでポケットからこの前押し付けられた例のゲームソフトを取り出した。
 そして私はずっとずっと梶くんに言いたかったことをようやく伝えることが出来た。


「これ、そもそもゲーム機ないから遊べないんだけどっ」