「こんないい女と、別れちゃうんだ」
自分で言って、哀しくなってきた。
言霊、というものはやっぱりあるのだろう。心の中で考えていたことも、口に出したとたんに急に現実味を帯びて、すごく心にずっしりとくる。
「別れよう」
そんな言葉が、真大の口から出て来るなんて、三十分前のわたしはきっと想像できないだろう。
だって昨日の夜までメールも電話もしてたし、今日だって一緒に昼ご飯を食べたし、すごくすごく、楽しかったのに。
なのに、いきなり別れよう、だなんて。納得できない理解できないにもほどがある。
でもそれは、普通の人の場合、だ。
わたしは真大の本当の本当の、かくして殺して押し殺し続けた気持ちを知っているから、納得できてしまう。せざるを、得ない。
仕方ないじゃん。気づかないふりしても付き合いたいくらい、真大のことが好きなんだから。
「うん。別れよう」
真大はもう一度、ハッキリわたしに言った。
「俺、他に好きな人がいる。でも、そいつのこと諦めようと思って付き合ったけど、諦められなくて……。本当に、ごめん」
やっと、真大は、本当のことを言ってくれた。
わたしがずっと知っていて、知らないふりをしていた本当の言葉。
本当の、気持ち。
嬉しいような悲しいような。半分半分かな。
