おめでとう。

高校二年生の十二月、友だちが言ってくれた言葉がこんな時だというのに、頭の中に浮かんでしまう。


あの時は素直にうれしかった。ずっとずっと、想い続けてた人のいちばん近くにいられる存在になれたことが、うれしかった。

そんなわたしを祝福してくれていることも、うれしくて。

とにかくあの日からわたしの人生は変わった。

目にうつるものすべてが輝いて見えたり、大嫌いな勉強も、なあなあで続けてしまった部活も頑張ろうって思えるくらい。


たしかにわたしはあの日から、変わった。


本質的なことはなんにも変っていないのかもしれない。

性格悪いし、人の悪口はいうし、自分の事中心に考えちゃうし。

それでも、頑張ろうって、思えるくらいにはなったんだ。


となりに立って恥ずかしくないように、自分磨きもさらに頑張った。


腹筋は寝る前に五十回するようになったし、理由もなくシャンプー変えてみたり、料理やお菓子作り頑張ってたまに差し入れてみたり。

もちろん、身だしなみも毎朝鏡の前で念入りにチェックしていた。

香水も、きつすぎず、ふわっと、風に乗っていい香りが飛んでいくような、そんな感じを心掛けていた。


恋が実った後だというのに、告白される回数は増えたし、前よりも噂になってるな、って。ちゃんと自分磨きできていた自覚もあった。



なのに、何がいけなかったんだろう。