ほしくて、いらない。




カラオケの部屋に入ると、遅いやら待ちくたびれたやら文句を言われ、帰りたくなったことは内緒。



ただでさえ、この部屋に来る途中音漏れしている部屋はたくさんあったのに、盛り上がってうるさそうな一際音漏れしているこの部屋に入るのは、少し気が引けたというのに。



「知樹〜私オレンジジュース」



「はいよー」



一番電話の近くにいる知樹に注文を頼んだ。



「ていうか桜、忘れ物って何?」



隣に座る美咲から聞かれた。



「化粧ポーチ」



「あ〜〜それないのつらいわ」



「うん。外でメイク直せない」



「あ、次私じゃ〜〜ん!」



美咲の曲が回ってきたらしい、マイクを持って立ち上がった。



気合い入ってますねー美咲さん。



横を見ると美咲が立ったことで、美咲の逆隣に座っていた未来ちゃんが見える。



未来ちゃんは笑いながらマラカスを振っていた。



未来ちゃんの正面に座る知樹の友達、山崎海斗くんはひたすらポテトを食べていた。



山崎くんの隣に座る知樹は曲を選ぶのに忙しそう。



あーきっと美咲と知樹二人しか歌ってないんだなぁってすぐわかった。