ほしくて、いらない。




学校を出たのが5時すぎ。



今が5時半前だから、病院に着くのは6時前。



電車に揺られ、自分の家がある駅を通過して4駅。



電車を降りて歩くこと5分。



病院さんこんばんは。どうも昨日ぶり。



エレベーターに乗って6階で降りた。



ナースステーションで挨拶をしてポーチを忘れたというと、奥から運ばれてきたポーチは包装されて綺麗に保管されていたらしい。



お礼を言うと看護師は仕事に戻った。



あたりを見回してみる。



「高沢先生?」



後ろを振り返ると石田さんがニコッと微笑んで立っていた。



「あ、こんばんは」



「桜ちゃんこんばんは〜〜。どうしたの?」



そう尋ねてきた石田さんに、ポーチを持った左手を少し上げて言う。



「忘れ物です」



「そっかそっか」



「それじゃあ」



一礼し、その場を離れようとした私を石田さんは引き止めた。



「高沢先生呼ぼうか?」



あーあ、折角さっきの質問やんわり無視したのに。