ほしくて、いらない。




「何してんだ?桜」



黙って突っ立ったまま考え込んでいた私に、声をかけてきたのは知樹。



知樹も球技大会ぶり。



「あ、おはよ」



「はよ。で、何してんの?」



「ちょっと考えごと」



「随時相談受付中〜〜」



「ありがと。機会があれば」



その窓口に頼ることなんてないけどね。



「てか朝からとか珍しくね?退院?」



「そうそう、退院」



「へー!おめっと。てかここに突っ立ってんの邪魔だし教室入んね?」



あ、人の迷惑考えずに廊下のど真ん中で突っ立ってた…



「そうだね」



教室に入って席につこうとして気がつく。



席替えをしたんだ。



私の席だった机に違うクラスメイトが座っていた。



「あ、席替えしたんだ。桜は俺の隣」



「ありがと」



知樹はよく周りを見ている。



だから私が一瞬困ったことにすぐに気づいたんだろう。