ほしくて、いらない。




「一生かけて、ですか?」



「ああ。

俺が自分を大切にすることが、みんなへの恩になると思う。
だから俺は、真面目に生きる。

こうすることで、母親への償いもできる。
俺がしっかり生きることで、俺を生んでくれた母親を大切にすることになると思うから。

…って、教えてくれたやつがいるんだけどな」



そっか。



先生は自分自身を粗末にすることで、先生を大切に育ててくれたお母さんの気持ちも踏みにじって粗末にしてしまうと思ったんだ。



私は今まで、先生は何も考えずに適当に生きているんだと思ってた。



けどそんなことなくて、しっかり考えながら、真面目に生きているんだ。



先生も苦労してきたんだ。



苦労して苦労して今があるんだ。



先生は、案外真面目な人間なのかもしれない。



「やべ、もう7時すぎてる」



先生と話すことに夢中になっていて、そんなにも時間が経っていたことに気付かなかった。