「なんてな。冗談」
そう言って笑った先生の顔は、私には笑ってるように見えなくて、けど悲しんでるようにも見えない。
先生が、わからない。
もともと掴めない人だけど、今の先生は更に遠くに行っちゃって、もっと離れてしまったように感じた。
「乗り越えたよ。
はじめの頃は責任を感じて、何にも手に付けられなかった。何も考えられなかったし、動く気力すらなかった。
だけど、いつまでも引きずってて何か良いことがあるのかって考えれば、何もないことは考えなくてもわかる。
それと同時に、このまま何も考えずに何もしない生活を送ってれば、俺という人間が落ちていくことに気付いた。
いや、正確に言えば気付かせてくれた奴がいたんだ。
あんなに無気力だった俺がここまで上がってこれたのには、いろんな人の支えがあった。
俺の話を黙って聞いてくれた人がいた。
俺を、踏み外した道からもう一度引き戻してくれた人がいた。
俺の隣でいつも笑ってくれる人がいた。
俺を笑わせてくれる人がいた。
俺がここまでこれたのは、本当にたくさんの支えがあったんだ。
感謝してもしきれないくらい、感謝してる。
俺はその恩を、俺の一生をかけて返すつもりだ」
