ほしくて、いらない。




「……そうなんですね」



「ああ」



どう返したらいいかわからない。





どうしてですか?

ーーそんなことは私が聞いていいことじゃない。



それなら、大変でしたね…って?

ーー同情するのは嫌だ。たぶん先生も嫌だと思うから。



話題を変えようか?

ーーいいのかな、せっかく先生から話してくれたのに。



じゃあ…どうしたらいい?



ていうか、どうして先生はいきなりこんな大切なことを私に話したんだろう?



今そんなこと話す空気じゃなかったよね?



「俺の母親は、病気で死んだ」



戸惑っていた私を余所に話を続ける先生。



「ある日知らない番号から俺のケータイに電話がかかってきた。

けど俺は知らない番号だから出なかった。
それでも何度もしつこくかかってくるから出てみれば、それは病院からで…

母親が倒れたって」



「急いで病院に向かったけど、俺がついた時にはもう死んだあとだった。

俺さ、あんまいい子供じゃなかったんだわ。
学校サボる日もあったし、夜中まで遊んでることもあった。悪いときなんて家に帰らない日もあった」