ほしくて、いらない。




家族を壊したのは私。



お母さんをあんな状態にしてしまったのは、



お母さんをあんなに苦しめたのは私だ。



そんな私が、悲しいなんて思っちゃいけない。



苦しいなんて感じちゃいけない。



胸の痛みなんて、叩けばすぐ治るくらい強くいなきゃいけないの。



もう誰にも迷惑をかけずに、



誰にも心配させることなく、



ただ大人しく生きていきたい。



ひとりで、強く。










気付くと、あたりは朝日が昇ってすっかり明るくなっていた。



あんなにも切なく悲しいことを思い出していたにも関わらず、今の私の心は痛くもかゆくもなんともない。



涙なんて流れない。



悲しいとも、思っていなかった。



ただ、胸が痛くて、ぎゅーっと握られるような痛みに顔が歪んだ。



「おい」



…っ



どうしてこんなときに。



振り返らなくたって相手が誰なのかはわかる。



今は誰にも会いたくなかった。



もう少しひとりでこの胸の痛みに耐えていたかった。




もう少し、この胸の痛みを感じていたかった。



自分の犯した罪を、感じていたかった。