ほしくて、いらない。




「ほんと、加奈子ちゃんは高沢先生のこと大好きなんだろうなー」




「滅多に疲れや苦労を顔に出さない高沢先生が、この間ため息ついちゃってたのよ」




「何のことでため息ついたのかはわからないけど、きっと加奈子ちゃんのことなんじゃないかなーって私は勝手に思ったの」



私が返事をしていなくても気にせず話し続ける石田さん。



石田さんはおしゃべりだ。




「だけど…高沢先生と加奈子ちゃんは仲良さそうよね」




「高沢先生といるときの加奈子ちゃんはいい笑顔。高沢先生も少なくとも普段よりは、少しね、少しだけだけど表情が崩れてる」




仲良し、か…



へぇ、高沢先生でも人と仲良くできるんだ。



そっか。



それなら私のとこなんて来ないであの子の部屋で資料でも読んで仕事したらいいのに。




「桜ちゃんは高沢先生と仲良くやれてる?」




「仲良く?いえ全く」




「ふふっ…桜ちゃんらしいわね」




私らしい?



なにそれ。



よくわからない。