ほしくて、いらない。




売店でお水を買って病室に戻るとき、ナースステーションにはさっきの女の子がまだいた。



いつまでわがまま言ってるんだろう。



石田さん、


いつか私とあの子が仲良くできるかな、なんて言っていたけど多分無理かな。



自分のことしか考えてないような子供は苦手です。



「桜ちゃん」



「あ」



石田さんだ。



「桜ちゃん最近大人しくしてるらしいじゃないの」



「まあ…」



高沢先生が毎日顔出すから遊びに行けないんです。



「元気?」



「いつも通りです」



「そう。良かった」




私は、先生たちに調子はどう?とか元気?とか聞かれたとき、いつも通りですと答える。




秋田先生や高沢先生、石田さんもそうだけど、私の答えに良かったって言う。



私は別に元気だなんて言ってないのに。



…まぁそんなこと別にどうでもいいんだけど。



「加奈子ちゃんねー、高沢先生大好きなのよ」



私が未だに駄々をこねる女の子を見ていることに気づいたのか、石田さんがその子について話し始めた。



「朝の回診のときもね、長いときで20分も捕まってるらしいのよ」



20分……それはさすがに。



「そうなんですね」



「そうそう。毎日高沢先生に“会いに来て!”って頼んで部屋に遊びに来てもらってるのに、それでも足りないのかああやって毎日高沢先生に会いに来てるのよ」