ほしくて、いらない。



「ねえ〜〜」



売店に行く途中ナースステーションの方から聞こえてきた声。


気にせず通り過ぎようとしたが、次に聞こえてきた言葉で足が止まってしまった。



「高沢先生どこ〜〜〜」


「高沢先生は仕事中なの。だから病室で待っててね。加奈子ちゃんが探してたって後で伝えておくから」



私と同じくらいの歳のように見える女の子が看護師と話していた。



多分高校生で私と同じか下だ。


明らかに上には見えない。


看護師は眉を下げて困った顔をしている。


…加奈子ちゃん、って…


ある日の石田さんの話が頭を過る。



“隣の病室に桜ちゃんと同じ高校生の女の子が入ったんだよ”


“高沢先生は隣の病室で加奈子ちゃんに捕まってます”



ああ、あの子が石田さんが言っていた女の子か。


私と近い歳で、高沢先生を気に入ってるように見えるあの様子。


あの子だ。