ほしくて、いらない。



「主治医とか誰でもいいので」


「そうだね。桜ちゃんらしいな〜。じゃああとよろしくね」



そう言って病室を出て行こうとする秋田先生を私は呼び止めた。



「秋田先生」


「ん?」


「ありがとうございました」


「いいえ〜」



嬉しそうに笑った秋田先生と一緒に、石田さんも出て行ってしまった。


あ…今日点滴しなくていいんだ。


ていうか、彼はなぜここにいるんだろうか。


なぜ秋田先生たちと一緒に出ていかなかった?



「まさかお前だったとはな」



……は?


雰囲気変わったよね?


秋田先生と石田さんが出ていったからだよね?


それがあなたの素ですか?


…あの日の彼に戻ってるんですけど。



「私もびっくりです。あなたが先生だったなんて。見えませんねー全然」


「お前あの日俺のことホストなんて言ってくれたもんな」



右の口角だけ上がってる…


その笑い方いや!怖い!