ほしくて、いらない。



「んーお腹すいたし、今はお昼食べたい」



別にお腹は空いていない。


だけどこう言えば、そっかって早く切り抜けられる気がして。


なのに…



「それは試合終わった後でも良いじゃん!ご飯食べた後だと試合は終わってるよ!」



未来ちゃんは引かない。



「勝ち上がれば次を観ればいいでしょ?」



「勝ち上がらなかったら?」



「そのときはそのときで、ドンマイって声かけて…」



「知樹くんは観てほしいって思ってるのに、ドンマイって言葉じゃ知樹くんの思いに応えられてない!」



「どうしてそんなに未来ちゃんが必死なの?」



そうだ。


どうして未来ちゃんがこんなにしつこく言ってくるのかわからない。



「私は…私は…知樹くんの思いに応えてほしくて…」



私は今、

“未来ちゃんには関係ないでしょ?”

そう思っている。



だけど、
そう言えば彼女が傷付くことはわかっているから、だから言えない。


けど、こういうちょっとした遠慮でさえ面倒だと思ってしまう私は、


相当人と関わることに向いてないと思う。