ほしくて、いらない。



この間とは、私が今回の入院をするきっかけになった日のこと。


騒ぎすぎて発作が出てしまった。


そっとしていれば治るものなのに、美咲たちが焦って救急車を呼んだ。


心配させてるんだ。


みんなに。



「ごめんね、気をつけるからもう大丈夫」


「具合悪くなったら言ってね桜ちゃん!」


「いやいや、具合悪くなる前に帰れよ」



黙って聞いていた知樹が、未来ちゃんの言葉に突っ込んだ。



「知樹うるさい、呼ばれてる」



コートで知樹を呼んでいる男子たち。



「あ!やべ、試合だ。じゃーな!」



慌ただしく走って行った知樹。



「桜!」



振り返ると、知樹が立ち止まってこちらを向いていた。



「見てろよ!イケメンな俺様を!」



「知樹うるさーい」

「調子乗んなー」



私と美咲が突っ込むと、隣で未来ちゃんの控えめな笑い声が聞こえた。