ほしくて、いらない。



なんとなく瞼を開けると、


私の頭のすぐ隣から伸びている、先生の長い足が目に入った。


薄暗いこの部屋と同じような、紺色のズボンをはいている先生の足。


…足しか見えない。


先生…


今、


どんな顔してるの?


いつもみたく


…無表情だよね?


先生の表情からは先生の気持ちなんてよめないような、いつもみたいな冷たい顔をしてるよね?


少し頭を横にずらしたことで見えた先生の表情は、いつもとそれほど変わらなかった。


先生は目を瞑っていた。


眉間にはしわが寄っていた。


いつもとそれほど変わらない表情。


先生が眉間にしわを寄せていることなんて、よくある。


それでも伝わったんだ。


先生の心が、


滅多に動じない先生の心が、


今は揺れている。