ほしくて、いらない。



「してます…って言ったら?」


…ぁ、


やっぱり…


そっか。


…そうだったんだ。


やっと口を開いた先生から発せられた言葉に、胸が強く叩かれた。


強く…強く…


「それならいいんです…まだ気にしてるんじゃないかって、気になった、だけなので…」


「何年前の話ですか」


………………。


「もう前進しているならそれでいいんです、ほんとに…。そのまま、前だけ向いて…進み続けてください」


そう言って石田さんは部屋から出ていった。



…やっぱり、


石田さんと先生は昔からの知り合いなんだ。


二人の間には、忘れられない何かがある。


だから石田さんは、先生に向かってああ言った。


まだ気にしてるんじゃないか、って…


前だけ向いて進み続けて、って。