ほしくて、いらない。



「桜〜〜!!」


「美咲!」



声のした方へ振り返ってみると、美咲が手を振りながら走ってこちらに向かっていた。


その後ろには、美咲と同じチームで一緒に戦っていたクラスメイトもいる。


知樹と話している間に、試合が終わっていたらしい。



「桜久しぶり…ってわけでもないね!」


「そうだね」


「は?お前らは久しぶりじゃねーの?」


「私は先週お見舞い行ったの〜」



そう。美咲は時々、私の病室にお見舞いにきてくれる。



「俺には病室教えてくんねぇのに」



知樹がボソッと呟いた声が微かに聞こえた。



私は美咲以外に病室を教えていない。


お見舞いなんていらないから。



「知樹は別に来なくていい」


「また桜はそうやって冷たいこと言う〜〜」



知樹はうるさいもん。


私の部屋は個室で周りに迷惑をかけることはないけど、知樹のうるささは私に迷惑をかける。