知ってるよ。


さっき、先生が私を抱きしめてくれた時、


私を見ていなかったこと。



…気付いちゃったんだ。


先生が、違う誰かと私を重ねて見ていたこと。



分かっちゃうに決まってんじゃん…


あの優しさが、私に向けられたものじゃなかったこと。


今にも消えてしまいそうだった、あの掠れた声。


あの力強く抱きしめてくれた腕。


私が、もっとって…


…先生を求めたときに応えてくれた優しい先生。



あんな先生、私知らないもん。


あんな先生、見たことなかった。


私の知らない先生。


あんな先生を見て、先生が誰かを思っていることに気づかないわけないじゃん。



…だけどそれと同時にね、


私、自分の気持ちにも気づいちゃったんだ。